「意思がなくなればいいのに」
いつも言われていた
だから“意思“を捨てた
“意思“を捨てると決めた旅行が始まる
ずっと楽しみにしていた二泊三日
初めて行く街
わたしが“意思“を捨てたら
どんな彼の顔が見れるのか
喜んでくれるだろうか
なにもかもが楽しみで仕方なかった
車で長距離移動するため、深夜に出発する予定
21時、準備を整えた彼が家に迎えに来てくれた
彼に会えた喜びと、心待ちにしていた旅行の喜びで、満面の笑顔で彼に抱きついた、、、
瞬間、、、
思い切り押し倒された
予想外すぎる出来事に驚き、反射的に抵抗しようとした
すると、頬に鋭い速さの平手打ちがとんできた
そうか、もう旅行は始まっているんだ
“意思“を捨てるんだ
彼にされるがままになるんだ
彼の言いなりになるんだ
彼の性玩具になるんだ
そう意識し、自覚し、自分に刷り込む
彼は、手早くわたしの身体を貪り食べた
あっという間の出来事だった
いつもみたいにわたしを気持ち良くすることはしない
ただただ自分が気持ち良くなるためだけのセックス
普段のセックスは短くても1時間半はかかる
それが10分弱で終わった
とりあえず一発抜いとくかみたいな、ただのオナニーの道具にされた気分
ただの道具にされたのに、その行為に興奮してしまう自分がいる
彼だけが果てると、髪の毛を掴まれて起こされた
「行くよ♪」
ついさっきの表情とは真逆で満面の笑顔
落差が激しすぎる
ギャップが恐いわたしは気怠くなった身体に鞭打ち、急いで準備を整えた